マイクロドローンとは?特徴や空撮用ドローンとの違いを徹底比較

マイクロドローンで室内や人物の撮影が可能であることをご存じですか?

 近年、テレビ番組の撮影などでドローンによる空撮を目にする機会が増えました。ドローンの空撮技術は多くの事業分野で実用化されており、技術の発展と共に活躍の場は広がり続けています。
 最近では、マイクロドローンや小型ドローンも数多く存在し、個人利用目的でドローンを所有している人も多いです。特にマイクロドローンは小型・軽量かつ低価格であり、人や物との接触による危険性が小さいため非常に身近なドローンです。

 しかし、マイクロドローンは一般にドローンと聞いて想像する空撮用ドローンとは機材や操縦性、適用される法律が異なります。そこで、この記事ではマイクロドローンに関する特徴の解説に加えて、一般的な空撮ドローンとの違いについて解説していきます。
 最後には、マイクロドローンのカスタマイズ性についても解説しているため、ドローンを自分好みに自作、カスタマイズしたい方は参考にしてみて下さい。


マイクロドローンとは

 

 マイクロドローンとは、その名の通り小型で軽量なドローンのことです。種類によって大きさや重量は異なりますが、マイクロドローンのスペックとして一般的なものは以下の通りです。

  • プロペラ対向間 100mm程度
  • プロペラサイズ2インチ以下
  • 重量 100g以下

 マイクロドローンは、元々レースや飛行技術を競う競技用のドローンとして利用されていました。そのため、そのコンパクトさを活かしたアクロバティックな操縦やスピード感のある映像の撮影が特徴です。
 近年では、接触による危険性が低いことを活かして、室内での撮影や人物の撮影を行う際の機器としても脚光を浴びています。一方で、小型過ぎるが故に操縦が難しかったり、ハイスペックなカメラを搭載できない等のデメリットもあります。


マイクロドローンの特徴

 

マイクロドローンは単にサイズが小さいだけではなく、通信方法や操縦方法が空撮などで利用される中~大型ドローンとは異なります。この章では、マイクロドローンの特徴について以下4つを解説していきます。

  • 映像の伝達速度が速い
  • 室内・人物の撮影が可能
  • アクロバットな撮影に最適
  • 機体のバランスをとる操縦が必要


映像の伝達速度が速い

 マイクロドローンは中~大型ドローンとは異なる通信方法を採用しており、通信速度が速いことが特徴です。これはマイクロドローンと空撮用ドローンの操縦方法の違いが影響しています。
 マイクロドローンはFPVと言われる、搭載しているカメラの映像を見ながら操縦する方法で飛行させます。機体がコンパクトでアクロバットな飛行を行うため、目視での飛行は行わないのです。そのため、ドローンからの映像が遅れて操縦性に影響がでないよう、画質よりも伝達速度が重要となります。
※FPV…First Personon Viewの略で自分の目で見た視点のこと。ドローンではなくドローンのカメラからの景色を見て操縦する。

 一方で、空撮用ドローンは基本的にドローンを目視確認して飛行させます。ドローンの撮影映像をモニターで確認することもできますが、搭載しているカメラは撮影用なので撮影映像の確認のために利用されます。そのため、映像の伝達速度はあまり必要ではありません。


室内・人物の撮影が可能

 マイクロドローンはその安全性の高さから、室内・人物の撮影が可能です。マイクロドローンは他のドローンに比べて非常に小さくて軽量であるため、万が一物や人と衝突してしまっても大事故に繋がらないのです。

 また、そのコンパクトな機体により、大きなドローンでは入れないような空間での撮影が可能であるため、点検作業や人命救助などの分野での活躍も期待されています。


アクロバットな撮影に最適

 マイクロドローンの機動性の高さにより、スピード感のあるアクロバットな撮影が可能です。元々レース用に利用されていたこともあり、操縦者の腕次第では狭い場所のくぐり抜けや宙返りなどの映像を撮影することができます。

 また、マイクロドローンは軽量・コンパクトで安全性が高いため、被写体ギリギリまで近づいた撮影も可能です。近年ではマイクロドローンに搭載できるカメラの性能も向上しており、高品質な映像を撮影することもできます。


機体のバランスをとる操縦が必要

 マイクロドローンを利用する際は、機体のバランスをとりつつ目的通りの飛行を行わせなければなりません。そのため、マイクロドローンを上手く飛行させるには比較的操縦スキルが必要となるのです。
 一般的に、空撮用ドローンには各種センサーが搭載されており、ほとんど操縦しなくてもホバリング(空中に静止すること)で機体を安定させることができます。一方で、マイクロドローンにはGPSや気圧センサーといった類は搭載されていないため、空中で静止ができず常に機体のバランスを調整する必要があります。

 また、一般的に空撮用ドローンのカメラにはジンバルが搭載されており、機体の揺れや傾きによらず安定した映像を撮影することができます。一方でマイクロドローンに搭載しているカメラはドローンに固定されているため、撮影を行う場合は被写体に対してマイクロドローンの機体姿勢を常に安定させる必要があります。
 マイクロドローンが水平より傾くと、撮影している画像も傾きますし、振動するとジンバルがないために画像がブレるということも起こるのです。


マイクロドローンと空撮用ドローンの通信方法の違い

 

 マイクロドローンと空撮用ドローンは、それぞれの飛行方法の違いから映像伝達に使われる電波帯が異なります。具体的な電波帯は以下の通りです。

マイクロドローン:5.7GHz帯域幅
空撮用ドローン:2.4GHz

 それぞれの電波帯について、詳しく解説していきます。


マイクロドローン(FPV)は5.7GHz帯域幅

 マイクロドローンはカメラで撮影した映像を元に操縦を行う(FPV)ため、通信速度が速い5.7GHz帯域幅が用いられます。FPVとは、「First Person View」の略で「一人称視点」と訳されます。実際にコックピットに乗ってドローンを操縦しているような視野のことです。

5.7GHz帯域幅の主な特徴は以下の通りです。

  • 障害物に弱い
  • 遠距離通信に弱い
  • 高速通信が安定している
  • Wi-Fiや電子レンジの影響を受けにくい
  • 利用するには免許が必要(営利・非営利の目的によって必要な免許が異なります)


空撮用ドローンは2.4GHz

 空撮用ドローンは機体の目視により操縦を行い、カメラ映像は撮影映像の確認用であるため通信速度はあまり求められません。空撮用ドローンの映像伝達には、メジャーな2.4GHz帯が用いられています。

 2.4GHz帯の主な特徴は以下の通りです。

  • 障害物に強い
  • 遠距離通信に強い
  • 幅広い分野で利用されている
  • 2.4GHz帯の利用に免許は必要ない
  • 様々な製品から電波干渉を受ける可能性がある


マイクロドローンは航空法適用外

 

 航空法はドローンの利用を規制する代表的な法律の一つです。2015年にドローン関連の事件が多数発生したことを受け、同年9月にドローンの規制内容を盛り込んだ改正が行われました。そして、2015年12月より改正航空法が施行され、ドローンの利用に関する規制が始まりました。

 しかし、マイクロドローンは航空法が適用されるドローンの定義に含まれないため、ここで紹介する航空法は適用されません。


航空法によるドローン規制

 航空法の主な内容は、ドローンを特定の場所・方法で飛ばす際に事前許可や承認が必要となるというものです。具体的には以下3つの場所でドローンを利用する際に事前許可が必要となります。

  • 人口集中地域
  • 地表面から150m以上の高さ
  • 空港等の周辺

 また、ドローンを利用する際に以下6つに当てはまる場合は承認が必要となります。

  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 30m未満の人・モノへの飛行
  • イベント上空飛行
  • 危険物輸送
  • 物件投下


マイクロドローンは軽量で危険性が少ない

 マイクロドローンは軽量で危険性が少ないため、航空法の適用対象外です。航空法ではドローンは無人航空機と呼ばれ、以下のように定義されています。

「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの(200g未満の重量(本体とバッテリーの合計)のものを除く)」

 マイクロドローンは一般的に100g以下で軽量なため、航空法の適用対象として定義される無人航空機に含まれないのです。


マイクロドローンは自作できる

 

 マイクロドローンは軽量でコンパクトであるという特徴の他に、自作できるという特徴もあります。利用目的に応じた部品を組み合わせることで、自分だけのオリジナルドローンを作ることができるのです。
 この章では、主なカスタム項目として以下4つについて解説していきます。

  • バッテリ
  • プロペラ
  • モータ
  • カメラ


バッテリ変更で飛行時間を伸ばす

 マイクロドローンに搭載するバッテリを高出力のものに変更することで、より高速で長時間の飛行が可能となります。バッテリは比較的簡単に交換ができ、効果が出やすい部品です。

 ただし、単に出力の大きなバッテリを搭載すれば良いという訳ではなく、搭載するバッテリの重量も考慮しなければなりません。基本的に、バッテリのスペックは内部の電解液の量および電極の面積で決まるため、出力が大きいバッテリほど重量も重くなります。
 特に、バッテリはマイクロドローンの機体重量の大部分を占めるため、重量に関してはシビアに選定する必要があると言えます。


プロペラ変更で飛行特性を変える

 マイクロドローンに搭載するプロベラを変更することで、飛行性能を変更することが可能となります。

 マイクロドローンに搭載できるプロペラは様々な種類が存在し、それぞれ羽の枚数、羽の幅、羽の形状などが異なります。マイクロドローンの場合はプロペラのサイズに制限があるため、3枚羽や4枚羽が主流です。
 後述するモータとの組み合わせによっても特性が変わる部分のため、目的に応じた組み合わせを模索する必要があるでしょう。


モータ変更で馬力を上げる

 マイクロドローンに搭載するモータを変更することで、機体の特性を大きく変更することが可能となります。
 一般的に、モータを高出力のものに変更すると、プロペラの回転数が上がって飛行スピードが速くなります。また、舵を切った際に素早く機体が動くため、操作性も良くなります。

 ただし、モータの出力が大きくなるということは、当然必要な電流も多くなるため、バッテリの減りが速くなるというデメリットもあります。モーターの出力と飛行効率は相反する関係にあるため、目的に応じた組み合わせを模索しなければなりません。


カメラ変更で映像の品質を上げる

 マイクロドローンに搭載するカメラを変更することで、高品質な映像での操縦が可能となったり、映像の録画が可能となります。
 種類にもよりますが、一般的にマイクロドローンは映像の高速通信が最優先のため、画質は荒いものが多いです。また、ものによってはFPV映像専用のカメラしか搭載されておらず、録画機能はないものもあります。

 そのため、目的に応じてカメラのモジュールを変更する必要があるのです。近年ではFPVと撮影の両方が可能なカメラや、映像が高品質なカメラも存在しています。


まとめ

 

 この記事では、マイクロドローンの特徴や空撮用ドローンとの違いについて解説しました。近年、ドローンは様々な分野で実用化されるだけでなく、小型で比較的安価の種類も多く個人利用する方も増えてきています。
 特に、マイクロドローンはコンパクトで軽量であるため、室内や人物の撮影で脚光を集めています。種類毎にドローンの特徴を正しく理解し、自分に合ったドローンを利用しましょう。

 マイクロドローンであれば、目的に応じてカスタムすることもできるため、オリジナルの機体を作製することもできますよ。

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