12月5日施行!ドローンの改正航空法とは?改正内容や注意すべきポイントを解説

2022年12月5日より航空法が改正され、有人地帯での目視外飛行が可能となるなどドローンの飛行ルールにさまざまな変更がありました。
しかし、この航空法の改正内容について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
今回は2022年12月5日に施行された改正航空法について、改正内容や注意すべきポイントを解説します。
同年6月20日に施行されたドローン登録の義務化についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

2022年12月5日から施行される改正航空法とは?

2022年12月5日に施行された改正航空法では、主に以下の4点が変更されています。

・ドローンのレベル4飛行が可能に
・機体認証制度の設立
・無人航空機(ドローン)操縦者技能証明制度の設立
・4つの運行ルールが設けられる

特に有人地帯での目視外飛行「レベル4飛行」が可能となることで、より多くの場面でドローンが活用できます。

それぞれの変更点を後述で詳しく紹介するので、ぜひ読み進めてください。


ドローンのレベル4飛行が可能に

改正航空法の変更点1つ目は「ドローンのレベル4飛行が可能」となったことです。

現在、ドローンの屋外飛行は以下の4段階にレベル分けされています。

・レベル1:目視内での操縦飛行(橋梁点検など)
・レベル2:目視内での自律飛行(農薬散布、土木測量など)
・レベル3:無人地帯での目視外飛行(輸送の実証実験など)
・レベル4:有人地帯での目視外飛行(荷物配送、建設現場の測量など)

これまではレベル1〜3の飛行のみが許可されていました。

しかし、レベル4である「有人地帯での目視外飛行」が可能となったことで活用機会が多くなり、多くの産業から注目を集めています。

レベル4飛行が可能となり、具体的には以下のドローン活用が想定されます。

・橋梁、砂防ダム、工場設備などの保守点検
・スタジアムでのスポーツ中継
・写真・映像撮影のための空撮
・市街地や離島への医薬品・食料品配送
・建設現場などの測量
・森林資源調査
・イベント施設や広域施設の警備
・災害時の救助活動(海難捜索など)、被害状況の確認
・災害救援物資の輸送

実際に三重県では、改正航空法を受けてドローンで郵便物を配達する実証実験を行っています。

今回の改正航空法により、郵便物や荷物配送など今後日常生活にドローンが関わるケースが増えてくるでしょう。


機体認証制度の設立

改正航空法の変更点2つ目は、「機体認証制度の設立」です。

機体認証制度とは、ドローンの強度や構造、性能に関する検査を行い、飛行時の安全性を確保する認証制度のことです。

機体認証は全てのドローン飛行で求められる訳ではなく、以下の「カテゴリーⅢ飛行、カテゴリーⅡ飛行」に該当する場合のみ必要です。

カテゴリー内容認証の種類
カテゴリーⅢ飛行立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行第一種型式認証第一種機体認証
カテゴリーⅡ飛行立入管理措置を講じた上で行う特定飛行第二種型式認証第二種機体認証
カテゴリーⅠ飛行特定飛行に該当しない飛行なし

引用:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」

上記カテゴリーの内、カテゴリーⅠ飛行である「特定飛行に該当しない飛行及び機体」は機体認証が必要ありません。

また、特定飛行とは以下の条件に当てはまる飛行のことを指し、該当する場合は機体認証が必要です。

【飛行空域】

・150m以上の上空
・空港等の周辺
・人口集中地区の上空
・緊急用務空域

【飛行方法】

・夜間での飛行
・目視外での飛行
・人または物件と距離を確保できない飛行
・催し場所上空での飛行
・危険物の輸送
・物件の投下

引用:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」

ちなみに、ドローン飛行に機体認証が必要かを判断しやすくするため、国土交通省では以下のフローチャートを用意しています。

引用:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」

機体認証が必要か判断に迷った時は、上記のフローチャートで確認しましょう。


無人航空機(ドローン)操縦者技能証明制度の設立

改正航空法の変更点3つ目は、「無人航空機(ドローン)操縦者技能証明制度の設立」です。

無人航空機操縦者技能証明制度(以下、技能証明制度)は、ドローンを含む無人航空機を飛行させるために必要な知識・能力を証明する資格制度のことです。

この技能証明制度は全てのドローン飛行に求められる訳ではなく、機体認証制度と同様「カテゴリーⅢ飛行」と、「立入管理措置を講じたカテゴリーⅡ飛行で許可・承認申請をしない場合」に該当する場合のみ必要です。

少し分かりにくいですが、カテゴリーⅡ飛行の場合は立入管理措置を講じた上でドローンが第二種機体認証以上であり、操縦者が二等操縦者技能証明以上を持っていれば、今まで行っていた許可・承認申請が不要となります。

言い換えれば、二等操縦者技能証明を持っていなくても許可・承認申請を行えばカテゴリーⅡでのドローン飛行は可能だということです。

ちなみに、それぞれのカテゴリー毎に必要な技能証明資格は、以下の通りです。

・カテゴリーⅢ飛行:一等無人航空機操縦士
・カテゴリーⅡ飛行:二等無人航空機操縦士
・カテゴリーⅠ飛行:なし

機体認証制度と同じく、カテゴリーⅠ飛行の場合は技能証明資格が必要ありません。

自身のドローン飛行がどのカテゴリーに当てはまるかは、前述したフローチャートにて確認できます。

よく質問されるのですが、ドローンを飛行させる上で新しい操縦者技能証明が必要ですか?という内容があります。

カテゴリーⅢに該当する飛行をしない限り、立入管理措置と適正なドローンがあれば従来のように後述するドローン情報基盤DIPSにて許可・承認を受ければ、必要ではないということになるのです。

ただし、許可・承認を受けなければ違法になりますから必ず申請をして許可・承認を得るようにしましょう。


4つの運行ルールが設けられる

改正航空法の変更点4つ目は、以下の運行ルールが新たに設けられたことです。

・飛行計画の通報
・飛行日誌の記載
・事故・重大インシデントの報告
・負傷者発生時の救護義務

ドローンで特定飛行を行う場合、上記の内「飛行計画の通報」「飛行日誌の記載」が必須です。

また、「事故・重大インシデントの報告負傷者」「発生時の救護義務」はどのドローン飛行でも必須となるため、ルールをしっかり把握しておきましょう。

飛行計画の通報

特定飛行を行う場合、「飛行計画の通報」が必要です。

飛行計画の通報とは、無人航空機を特定飛行させる場合、事前に飛行日時や経路を記した飛行計画を国土交通大臣に通報する制度のことです。

飛行計画を通報せずに特定飛行を行った場合、航空法違反となり30万円以下の罰金が科されます。

特定飛行を行う場合は、必ず飛行計画を作成し提出しましょう。

飛行計画の通報手続きは、国土交通省が運営する「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)」で行えます。

また、飛行計画の通報手続に関する詳細は国土交通省が公表する「無人航空機の飛行計画の通報要領」に記載されています。

飛行日誌の記載

特定飛行を行う場合、「飛行日誌の記載」が必要です。

飛行日誌によってドローンの飛行・整備・改造などの情報を把握することが目的で、以下の項目を記載する必要があります。

・飛行記録:飛行年月日や経路などの飛行内容
・日常点検記録:飛行前の点検結果
・点検整備記録:定期的な点検結果や整備・改造内容

飛行日誌を記載せずに特定飛行を行った場合、航空法違反となり10万円以下の罰金が科されるため、必ず記載しましょう。

飛行日誌作成の詳細については国土交通省が公表する「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に記載されています。

事故・重大インシデントの報告

「事故・重大インシデントの報告」はどのドローン飛行でも義務化されています。

ドローンによる以下の事故や重大インシデントがおきた場合、日時・場所などの概要を国土交通大臣に報告する必要があります。

【事故】

・人の死傷
・物件の破損
・航空機との衝突・接触

【重大インシデント】

・航空機との衝突・接触の恐れがあった時
・ドローンによる人の負傷
・ドローンが制御不能となった時
・飛行中のドローンが発火した

上記に該当する事故・重大インシデントが起きた場合、「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)」を通して報告します。

負傷者発生時の救護義務

ドローン飛行では「負傷者発生時の救護」も義務化されています。

ドローン飛行中に負傷者が発生した場合は、即座にドローン飛行を中止し、以下の被害拡大を防止する措置を行いましょう。

・負傷者の救護
・(ドローン発火時)消防への連絡・消化活動
・警察への事故報告


2022年6月20日よりドローン登録が義務化

2022年6月20日より、100g以上のドローンを飛行させる場合、ドローンを事前に登録することが義務化されています。

近年ドローンの利用者が増えている中で事故や無許可飛行が増加しており、問題解決のためドローン登録制度が施行されました。

この制度により、ドローンを登録せずに飛行させられなくなったため、ドローン飛行時は事前の登録手続きを行う必要があります。


ドローンの登録手順

ドローンの登録は「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)」上で、以下3つのステップで行います。

・申請
・入金
・登録記号発行

以下でそれぞれの手順を詳しく解説します。

申請

まず、「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)」にアクセスし、アカウント開設後、機体登録の申請を行います。

アカウント作成手順の手順は以下の通りです。

  1. 「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)」にアクセスし、「ログイン・アカウント作成」をクリック
  2. 個人の場合は「個人の方のアカウント開設」、法人の場合は「企業・団体の方のアカウント開設」をクリック
  3. 利用規約・飛行ルールを確認し、ページ下部のチェックボックスにチェックを入れて「次へ進む(確認しました)」をクリック
  4. 住所、氏名など基本情報を入力し「確認」をクリック
  5. 入力情報に誤りがなければ「開設する」をクリック
  6. 設定したメールアドレスにアカウント開設完了メールが届き、アカウント開設完了

アカウント作成後は、以下の手順で機体登録を申請します。

  1. アカウントにログイン後、TOP画面にある「無人航空機の登録申請へ」をクリック
  2. メインメニューの「新規登録」をクリック
  3. 「2次元バーコード認証」を選択し、「次へ進む」をクリック
  4. 入力者情報を確認し「機体情報の入力」をクリック
  5. 「メーカーの機体・改造した機体」「自作した機体」のいずれかを選択し、表示された項目を入力後、「使用者情報の入力」をクリック
  6. 入力者と使用者が同一の場合は「はい」を、異なる場合は「いいえ」を選択して使用者情報を入力
  7. 「入力した情報の確認」をクリック
  8. 内容確認し問題なければ「登録申請」をクリック
  9. 表示された画面で「OK」をクリック
  10. 設定したメールアドレスに認証URLが届くため、URLをクリック
  11. 認証完了後、登録システム画面に自動で切り替わり、表示された2次元バーコードをスマホアプリ「マイナポータルアプリ」でスキャン
  12. スマホで署名用電子証明書のパスワードを入力
  13. 登録画面に切り替わるため、表示された2次元バーコードを再度「マイナポータルアプリ」でスキャン
  14. スマホで利用者証明用電子証明書のパスワードを入力
  15. 登録画面に切り替わり、登録手続きが完了

入金

期待登録完了後は手数料を納付する必要があります。

手数料の入金手順は以下通りです。

  1. ドローン情報基盤システム2.0にログインし、「申請状況確認/取り下げ/支払い」をクリック
  2. 「支払選択」をクリックし、納付方法を選択して手数料を入金

なお、支払い方法は「クレジットカード」「ATM」「インターネットバンキング」の3種類から選択できます。

登録記号発行

入金後、申請した機体の登録番号が発行されます。

登録番号は、ドローン飛行時に機体にはっきりと表示させる必要があります。


ドローン飛行時はリモートID機能の搭載が義務化

ドローン飛行時は前述した機体番号の表示に加えて、リモートID機能の搭載が義務付けられています。

リモートID機能とは機体の識別情報を電波で発信できる機能で、事故発生時や無許可飛行時などに該当する機体を迅速に特定するためのものです。

リモートID機能はドローンに内蔵されている機種もありますが、ない場合は外付けのリモートIDを購入し搭載する必要があります。

ドローン飛行時は、リモートID機能がドローンについているか必ず確認しておきましょう。

リモートID機能の搭載が免除される条件

条件によってはリモートID機能の搭載が免除されるケースもあります。

具体的に該当するケースは、以下の通りです。

・2022年6月19日までにドローンの登録手続を行った場合
・飛行を監視する補助者の配置など安全確保措置がなされている場合
・十分な強度を持つ紐などを使い係留飛行する場合

ただし、安全確保措置がなされていることを証明するために「リモートID特定区域の届出」を提出する必要があり、手続きの手間がかかります。

また、係留飛行は飛行範囲が大幅に限定されるため、ドローンを満足に使用できない可能性があります。

2022年6月20日以降に登録手続きを行った場合は、リモートID機能を搭載したドローンを利用した方が良いでしょう。


まとめ

2022年12月5日より改正航空法が施行され、ドローンのレベル4飛行が可能になるなどさまざまな変更点があります。

特定飛行に該当する場合は機体認証や技能証明資格が必要となるため、該当する方は申請条件などをチェックしておきましょう。

また、2022年6月20日よりドローンの機体登録も義務化されているため、必ず登録しておきましょう。