無くならない鳥獣被害
シカやイノシシなどによって起こる「鳥獣被害」は、主に農作物での被害が取り上げられることが多いです。
鳥獣がもたらす被害の内容や規模については、以前まとめた通りになっています。
https://dronepilot.co.jp/huntech/
平成22年には農作物への被害総額は239億円でしたが、令和元年には158億円と下がっています。
しかし、令和2年には3億円増の161億円と少し増加に転じました。
以前よりも大きく下がっている減少傾向にあるので、対策によって被害は縮小していっていると数字だけ見ると思えるかもしれませんが、対策を講じようとするお問合せや、現場の声はそれとは真逆に聞こえてきています。
一概には言えませんが、そもそも耕作放棄地が増えてきている点や、農業就労者の減少もあり農地面積はずっと減少傾向にあるため、額面以上の被害が起こっているのでは?と推測できます。
またコロナ禍で人の生活圏と鳥獣たちの生息域の境界が曖昧になってきたという話も聞こえてきます。
ドローンだけでは鳥獣を退治できない
イノシシに対する鳥獣対策の問い合わせを受ける中で良く聞かれるのは、ドローンでイノシシをどう駆除するか?という話です。
元々軍事兵器として開発されたのがドローンですから、装備によっては無くはないですが、そんなドローンを日常で飛ばすことは先ずありません。
問い合わせをいただく駆除の方法とは、ドローンから発生する独特の音や、機体自体が近づくことでイノシシを追い払えるのではないか?
スピーカーからオオカミなどの声を出すと、追い払えるのではないか?
といった内容です。
この動画は、イノシシに限りなく近づいたドローンから撮影した動画です。
見てお分かりになるように、ドローンを怖がって避けている、逃げている、そんな素振りは一切ありません。
これまで多くのイノシシを夜間に捉えてきましたが、10m以内に近寄ったとしても動じることはなく、動いたとしても彼らが当たり前のように移動している動きだけでした。
また、オオカミなどイノシシが逃げるであろう鳴き声を出す、という機械はドローンではなくても既にあります。
しかし、鳥獣対策を行っている罠専門の会社の方々から言わせれば、すぐ慣れて逃げなくなってしまうというのです。
箱罠と言われる檻に閉じ込める型の罠でも、体を入れ切らずに上手に餌だけ食べて逃げるイノシシが多いくらいです。彼らは賢く、自分に害があるなし、を理解しているのでしょう。
この事からも、ドローン単体でイノシシの追い払いなどは難しいということが分かります。
ドローンはイノシシ対策にどう使われるのか?
3年前から広島県や愛媛県今治市でドローンを活用したイノシシ対策を実施してきましたが、ドローン単体ではどうにもなりません。
あくまでもドローンは駆除ツールではなく、調査ツールの一つに過ぎません。
しかし、今まで姿を見れなかった森の中を縦横無尽に動き回る場面を実際に追いかけたり、彼らの獣道を特定したり、根城にしている箇所の特定だったりと固定カメラや人力だけでは出来なかったことが行えるのが調査ツールとしてドローンが優れているところです。
何度もドローンでのイノシシ対策を実施してきましたが、単純にドローンを飛ばせば調査できるかと言えばそうではありません。
対策すべき広い区画を、事前の情報も何もなく飛行させても姿を捉えるのは非常に難しいでしょう。
目的であるイノシシの被害を抑えるために、捕獲や追い払いを実施するパートナーと対策の全体設計を行い、そこに至るパーツとしてドローンを活用します。
その全体設計にはイノシシや鳥獣の専門家が加わっているため、ドローンで調査すべき場所の特定が事前に可能となっています。
そのため、無駄な飛行をすることなく非常に高い確率(今までは100%の確度)でイノシシの姿をとらえてきました。
また、当社が持つ画像技術やソフトも地形の特定も行い、対策すべき場所の今の状態を捉えながら捕獲や追い払いに役立っています。
これからもイノシシのみならず、鳥獣被害に対してドローンや、画像ソフトを活用して尽力して行ければと考えています。
または、以下のアドレスをご活用ください。
info@dronepilot.co.jp