ドローンを利用して橋梁を点検できることをご存じですか?
この記事では、そんなドローンによる橋梁の点検について、メリット・デメリットやドローン点検を行う場合の流れについて解説していきます。
その内、建設年数が判明している橋は約40万橋であり、2023年にはその40万橋の中の約43%(約171、000橋)が、2033年には約67%(約267、000橋)が建設後50年を超えるのです。
しかし、損害が深刻化してしまうと、大規模な修繕が必要となり、さらには橋梁の寿命も結果的に短くなるのです。
5年間で716、466もの橋梁を点検した結果が以下の通りです。全体の橋梁の10%以上に対して何らかの措置が必要とのことでした。
作業員が橋梁の点検作業を行う場合、一般的に橋梁点検車(ブリッジチェッカー)と呼ばれる特殊車両を使って足場を作ることが多いです。橋梁点検車とは、トラックの荷台に先端に籠の付いたクレーンが搭載された車で、橋梁の上からクレーンの腕を伸ばすことで橋梁の真下まで作業者を運ぶことができます。
一方で、作業員が自ら橋梁の点検を行う場合では、作業員が橋梁点検車や足場に乗の上で点検作業を行う必要があります。橋梁は高所に設置されていることも多いため、作業者は常に落下による怪我のリスクと隣り合わせで作業を行わなければなりません。
また、赤外線カメラをドローンに搭載すれば橋梁の温度分布を確認できるため、人の目では確認できない橋梁の異常を発見することができます。このように、ドローンは人の代わりに橋梁の点検作業を行っているだけでなく、ドローンだからこそ可能な点検もあるのです。
橋梁点検にドローンを導入することで作業に必要な人員を削減できれば、人件費を低く抑えられるため、最終的に点検に要する費用を安く抑えることができます。
そのため、橋梁点検者は事前に点検地域でのドローン飛行可否を確認する必要があります。そして、必要に応じて事前の許可を取らなければなりません。
小型無人機等飛行禁止法では、以下の対象施設周辺(敷地または区域および周囲約300m以内の地域)でドローンを飛行させることを禁じています。
航空法では、以下3つの空域でドローンを飛行させる際には、事前の許可が必要だと定めています。
ドローンを利用して橋梁点検を行う場合は、降水確率や風速も考慮して日程調整することになるでしょう。中には、全天候型ドローン(防水ドローン)などもありますが、精密機器であるため、雨の時に飛行は避けた方が無難です。
地上と上空で風速が異なることも多いため、実は上空の風が強くて屋根の点検を行えませんでしたなんてこともあるかもしれません。
橋梁点検において、ドローンは高性能カメラとAIの技術を搭載することで、ひび割れを自動検出することが可能です。この技術によって、橋梁点検にかかる時間を大幅に短縮することが可能となります。
ひび割れは、橋梁を含むコンクリート構造物の劣化具合を診断する基準として重要な役割を果たします。従来は専門知識を持った点検業者(土木技術者)が数十万にも及ぶひび割れを一つ一つ手作業で記録していました。そのため、橋梁の点検には膨大な時間と多くの人員が必要だったのです。
近年では、カメラの性能やAIによるひび割れ検知精度が向上し、技術者による点検結果とほとんど差がなくなっています。それだけでなく、AIによるひび割れ検知の場合は、ひび割れの幅や長さのデータも取得できるため、定期的な点検によってひび割れの進行を評価できます。また、測定結果からひび割れの3Dモデルの作成まで可能です。
橋梁点検において、ドローンは赤外線カメラを搭載することで、部材の浮きを検知することが可能です。浮きなどの劣化箇所は何らかの温度変化を発生させているため、赤外線カメラで点検対象の温度状態を把握することで、構造物の異常を調査します。
従来は専門知識を持った点検業者(土木技術者)が打音点検によって浮きを確認していました。そのため、橋梁の点検には膨大な時間と多くの人員が必要となります。また、橋梁が高所に設置されていた場合、足場を組んだり、橋梁点検車と呼ばれる特殊な機械が必要となるため、点検費用が高額になりやすいのです。
広範囲を効率的に点検するドローンのメリットと狭い範囲であれば詳細な点検を行える作業員のメリットを組み合わせることができるのです。
この記事では、そんなドローンによる橋梁の点検について、メリット・デメリットやドローン点検を行う場合の流れについて解説していきます。
ドローンによる橋梁点検の必要性
ドローンの空撮技術により、橋梁点検を効率的に行うことができます。プログラムされたドローンは自動で航行し、点検必要箇所の撮影を行います。
橋梁の寿命
少し古いデータですが、2013年に国土交通省が発表したデータによると、2m以上の橋梁は国内に約70万橋存在しています。その内、建設年数が判明している橋は約40万橋であり、2023年にはその40万橋の中の約43%(約171、000橋)が、2033年には約67%(約267、000橋)が建設後50年を超えるのです。
しかし、損害が深刻化してしまうと、大規模な修繕が必要となり、さらには橋梁の寿命も結果的に短くなるのです。
橋梁の点検サイクル
橋梁の長寿命化を目的として、国土交通省では2014年度から5年に1回の橋梁など道路施設に関する定期点検を実施しています。5年間で716、466もの橋梁を点検した結果が以下の通りです。全体の橋梁の10%以上に対して何らかの措置が必要とのことでした。
区分 |
状態 |
割合(総数716,466) |
---|---|---|
I | 構造物の機能に支障が生じていない状態 | 41%(約29万橋) |
II | 構造物の機能に支障を生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態 | 49%(約35万橋) |
III | 構造物の機能に支障を生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態 | 10%(約7万橋) |
IV | 構造物の機能に支障が生じている、又は生じる可能性が著しく高く、緊急に措置を講ずべき状態 | 0.1%(約7千橋) |
ドローンによる橋梁点検のメリット4つ
ドローンを橋梁点検に利用することで得られるメリットは以下の通りです。ドローンの空撮を利用することで、効率よく作業を進めることができます。
- 短時間で点検できる
- 安全に点検を行える
- 高精度な点検を行える
- 多くの人員を必要としない
短時間で点検できる
ドローンで橋梁点検を実施する場合、空中から広範囲の点検が可能なため短時間での点検作業を終えることができます。一方で、作業員による橋梁点検の場合は点検を行うための足場を要します。作業員が橋梁の点検作業を行う場合、一般的に橋梁点検車(ブリッジチェッカー)と呼ばれる特殊車両を使って足場を作ることが多いです。橋梁点検車とは、トラックの荷台に先端に籠の付いたクレーンが搭載された車で、橋梁の上からクレーンの腕を伸ばすことで橋梁の真下まで作業者を運ぶことができます。
安全に点検を行える
ドローンを利用して橋梁の点検を行う場合、作業員は地上または橋梁の上からドローンの映像を確認するだけなので安全に作業を行うことができます。また、多くの場合、点検用のドローンは自動操縦ができるため、操縦ミスなどによる危険性もほとんどありません。一方で、作業員が自ら橋梁の点検を行う場合では、作業員が橋梁点検車や足場に乗の上で点検作業を行う必要があります。橋梁は高所に設置されていることも多いため、作業者は常に落下による怪我のリスクと隣り合わせで作業を行わなければなりません。
高精度な点検を行える
ドローンを橋梁の近くまで接近させたり、ドローンに高性能のカメラを搭載することで細かな点検を行うことができます。足場の関係上、作業員が確認しづらいような場所であっても、ドローンであれば空中から簡単に確認できます。また、赤外線カメラをドローンに搭載すれば橋梁の温度分布を確認できるため、人の目では確認できない橋梁の異常を発見することができます。このように、ドローンは人の代わりに橋梁の点検作業を行っているだけでなく、ドローンだからこそ可能な点検もあるのです。
多くの人員を必要としない
ドローンによる橋梁点検の場合、ドローンパイロットさえいれば最低限の点検作業を行うことができます。また、ドローン操作も空撮映像の分析も自動で行うため、作業者は必ずしも専門的な知識を有する必要はないのです。橋梁点検にドローンを導入することで作業に必要な人員を削減できれば、人件費を低く抑えられるため、最終的に点検に要する費用を安く抑えることができます。
ドローンによる橋梁点検のデメリット
一方で、ドローンによる屋根点検のデメリットは以下の通りです。
- 打音による点検ができない
- 橋梁の立地によっては飛行できない
- ドローンの飛行は天候に左右される
打音による点検ができない
作業員による橋梁点検の場合、打音を利用した点検方法が良く用いられます。ハンマーや特殊な機械でコンクリートを叩き、打音の周波数成分を分析することによって橋梁の点検を行います。この方法によって橋梁の浮き、剥離、損傷有無などを点検できます。橋梁の立地によっては飛行できない
ドローンによる橋梁点検は、橋梁の立地によってドローンの飛行を制限される可能性があります。そのため、橋梁点検者は事前に点検地域でのドローン飛行可否を確認する必要があります。そして、必要に応じて事前の許可を取らなければなりません。
小型無人機等飛行禁止法では、以下の対象施設周辺(敷地または区域および周囲約300m以内の地域)でドローンを飛行させることを禁じています。
- 国会議事堂
- 外国公館等
- 原子力事業所
- 内閣総理大臣邸
- その他の国の重要な施設等
航空法では、以下3つの空域でドローンを飛行させる際には、事前の許可が必要だと定めています。
- 人口集中地域
- 空港等の周辺
- 地表面から150m以上の高さ
ドローンの飛行は天候に左右される
ドローンは橋梁点検を行う日の天候によって、飛行可否が左右されます。基本的に雨と風はドローンの天敵です。そのため、突然の雨や強風によってドローンを飛ばすことができなくなる可能性があるのです。ドローンを利用して橋梁点検を行う場合は、降水確率や風速も考慮して日程調整することになるでしょう。中には、全天候型ドローン(防水ドローン)などもありますが、精密機器であるため、雨の時に飛行は避けた方が無難です。
地上と上空で風速が異なることも多いため、実は上空の風が強くて屋根の点検を行えませんでしたなんてこともあるかもしれません。
ドローンを活用した橋梁の点検方法
ドローンを活用して橋梁の点検を行う場合、主に以下の流れで点検を実施します。
- ドローンが広範囲を自動で点検
- 重要箇所のみ作業員が点検
ドローンによる広範囲の自動点検
ドローンは空撮を利用して橋梁の各パーツを撮影し、画像認証技術やAI(機械学習)を用いて自動で点検を行います。ドローンは空から効率的に広範囲の撮影を行うことができるため、短時間で点検を終えることができるのです。主な点検内容は以下2つです。- 橋梁のひび割れ点検
- 橋梁の浮き点検
橋梁点検において、ドローンは高性能カメラとAIの技術を搭載することで、ひび割れを自動検出することが可能です。この技術によって、橋梁点検にかかる時間を大幅に短縮することが可能となります。
ひび割れは、橋梁を含むコンクリート構造物の劣化具合を診断する基準として重要な役割を果たします。従来は専門知識を持った点検業者(土木技術者)が数十万にも及ぶひび割れを一つ一つ手作業で記録していました。そのため、橋梁の点検には膨大な時間と多くの人員が必要だったのです。
近年では、カメラの性能やAIによるひび割れ検知精度が向上し、技術者による点検結果とほとんど差がなくなっています。それだけでなく、AIによるひび割れ検知の場合は、ひび割れの幅や長さのデータも取得できるため、定期的な点検によってひび割れの進行を評価できます。また、測定結果からひび割れの3Dモデルの作成まで可能です。
橋梁点検において、ドローンは赤外線カメラを搭載することで、部材の浮きを検知することが可能です。浮きなどの劣化箇所は何らかの温度変化を発生させているため、赤外線カメラで点検対象の温度状態を把握することで、構造物の異常を調査します。
従来は専門知識を持った点検業者(土木技術者)が打音点検によって浮きを確認していました。そのため、橋梁の点検には膨大な時間と多くの人員が必要となります。また、橋梁が高所に設置されていた場合、足場を組んだり、橋梁点検車と呼ばれる特殊な機械が必要となるため、点検費用が高額になりやすいのです。
作業員による重要箇所の点検
ドローンによる橋梁点検は効率的に広範囲の点検が可能なのですが、打音検査などを用いた詳細な点検を行うことができません。そのため、ドローンによる点検と作業員による点検とを組み合わせる場合も多いです。広範囲を効率的に点検するドローンのメリットと狭い範囲であれば詳細な点検を行える作業員のメリットを組み合わせることができるのです。
ドローンによる橋梁点検:まとめ
この記事では、ドローンによる橋梁点検に関して、点検の必要性やメリット・デメリット、ドローンによる点検方法について解説致しました。ドローンは安全性や作業効率の良さなどにメリットがありますが、メリットだけでなくデメリットもあります。そのため、状況や目的に応じてドローン点検を導入していく必要があるでしょう。
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