ドローン操縦に資格は不要！必要な場面や操縦ライセンスについても解説

　ドローンに関して様々な資格があることをご存じですか？

　近年、テレビ番組の撮影などでドローンが使われている場面を目にする機会が増えました。ドローンの空撮技術は多くの事業分野で実用化されており、個人が利用目的でドローンを所有しているケースも多いです。
　最近では、ドローン操縦士の人口も徐々に増えており、資格によって自分の知識や操縦スキルを客観的に証明することが大切になっています。また、使用するドローンの機種や使用目的によっては資格が必要な場合もあるため注意が必要です。

　そこで、この記事では「ドローンに関する資格」の解説に加えて「ドローン利用に関する注意点」を解説していきます。
　最後には、２０２２年新設予定の「ドローン操縦ライセンス」についても解説しているため、ご存じない方は参考にしてみて下さい。

ドローン操縦に資格は現状必要ない

　ドローン操縦に必須の資格は現状存在しません。そのため、ドローンは誰でも操縦することができます。

　ただし、屋外でドローンを操縦するためには、ドローンに関する法律を守らなければなりません。
　ドローンの種類や用途に応じて、各種申請や資格が必要な場合もあるため、ドローンを利用する際は注意しましょう。

ドローンに関連する法律による制限はある

　ドローンの利用に関する法律は以下の通りです。

民法
航空法
電波法
道路交通法
文化財保護法
個人情報保護法
小型無人機等飛行禁止法

　一つずつ詳しく解説していきます。

民法
　ドローンが飛行する場合は、民法２０７条に記載がある「土地所有権」によっても利用が規制されます。
　条文には「土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下におよぶ」と記載があり、高さの上限は明記されていませんが、今までの法律解釈では高度３００ｍが上限と言われています。

　航空法では地表面から１５０ｍ以上の高さで飛行してはならないと定められているため、厳密に言うと他の方が所有している土地の上空を無断で飛行させてはならないのです。

航空法
　航空法が適用されるドローンの定義は、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であり、構造上人が乗れないものの内、遠隔操作または自動操縦できるもの(２００ｇ以上)」です。
　航空法では、以下3つの空域でドローンを飛ばすためには事前の許可が必要となります。

人口集中地域
地表面から１５０ｍ以上の高さ
空港等の周辺

　また、航空法には許可以外に承認を得る必要がある以下の６つのルールがあります。

夜間飛行
目視外飛行
３０ｍ未満の人・モノへの飛行
イベント上空飛行
危険物輸送
物件投下

電波法
　ドローンでＦＰＶを活用して飛行する場合、画面の転送に５.７ＧＨｚ帯域幅の電波を使うことが多いです。この電波帯域は、「電波法」の適用対象となります。電波法とは、電波が混線しないように利用できる電波を定めた法律です。

　また、電波を利用する機器は「特定無線設備の技術基準適合証明(通称:技適)」の取得が義務付けられています。
　大手メーカーの販売代理店などで購入した場合は、基本的に技適通過済みなので問題ない場合が多いです。

道路交通法
　ドローンの利用で一般交通に影響を及ぼす場合、「道路交通法」の適用対象となります。道路交通法で定める「道路」には車道だけでなく歩道も含まれます。
　道路交通法の対象用途でドローンを使用する場合には、事前に管轄警察署長の許可を受ける必要があります。

　ただし、ドローンを使って道路の上空から撮影を行う場合など、一般交通に影響を及ぼさない場合は申請の必要はありません。

文化財保護法
　国が指定する重要文化財およびその周辺におけるドローンの利用は、「文化財保護法」によって禁止されています。
　ドローンの操作ミスなどで重要文化財に損害を与えた場合は文化財保護法違反となるので注意しましょう。

　重要文化財周辺でドローン利用するためには、管理団体への事前確認が必須です。基本的に業務以外での利用は禁止されています。

個人情報保護法
ドローンで撮影した映像によっては、「個人情報保護法」の適用対象となります。

　映像に人や個人情報などが映り込んだ場合、「肖像権」や「プライバシー侵害」が関わってくるのです。
　総務省が発表した指針では「肖像権、並びに個人情報の保護に配慮するようお願いします。」と示しており、ドローンが撮影した映像の取り扱いには注意が必要です。

小型無人機等飛行禁止法
　ドローンを重要施設および周辺約３００ｍの地域上空で利用する場合、「小型無人機等飛行禁止法」の適用対象となります。
　ドローン利用の規制対象となる重要施設としては、以下が挙げられます。

国の重要な施設等(国会議事堂、内閣総理大臣邸など)
対象外国公館
対象防衛関係施設
対象空港
対象原子力事業所

など

ドローンに関連した資格はあると便利

　前述した通り、ドローンの利用にあたり必須の資格は現状ありません。

　しかし、利用するドローンの種類や利用目的によっては資格が必要、あるいは資格があると便利なこともあります。
　ドローンに関する資格については、詳しくは次の章でご紹介していきます。中には、ドローンスクールにて短期間取得できる資格もあります。

ドローン業務に関する資格一覧

　一般的に、ドローンの利用にあたって必須ではないものの、場合によっては必要な資格やあると便利な資格をご紹介します。
　この章でご紹介する資格は以下の通りです。

ドローンの民間資格・検定
電波法関係の資格
測量士の資格

　一つずつご紹介していきます。

ドローンの民間資格・検定

　ドローン操作に関して、必須となる資格は現状ありませんが、知識や操作に関する資格を保有することで顧客への信頼性が高まります。
　資格によって、あなたが持つドローンに関する基礎知識や総術スキルを客観的に証明することができるのです。
　それにより、禁止されている空域での飛行を国土交通省に申請する場合、１０時間以上の飛行経験など基本的な最低限のラインをクリアしているとみなされ、申請の承認が資格がない場合に比べて早くなりやすいです。

　さらに、万が一に備えて入るドローンの損害保険に加入するために、基礎知識や技術の習得の証明として民間資格の取得が必須の場合もあります。保険がないと事故を起こした時、莫大な金額を払う恐れもあります。
　また、資格獲得に向けて基礎から応用までの知識や実技を学ぶこともできます。

　ドローンについて民間資格はいくつか種類があるのですが、ドローン操縦士について必要最低限の知識と技能を習得したい場合は、以下の４つの民間団体による資格が有名です。

ＪＵＩＤＡドローン資格
一般社団法人ドローン操縦士協会（ＤＰＡ）の資格
ＤＪＩＣＡＭＰ認定資格
日本ドローン協会（ＪＤＡ）の資格

　座学系の資格を取りたい場合は、「ドローン検定（無人航空従事者士試験）」も有名です。ドローンを安全に活用するための知識を学ぶことができます。

電波法関係の資格

　一般ユーザー向けのドローンであれば利用に資格は不要ですが、産業用ドローンの利用する電波によっては、電波法関係の資格が必要です。
　一般的なドローンは、「２.４ＧＨｚ帯」と呼ばれるＷｉ-Ｆｉに代表される電波を利用しています。

　しかし、ＦＰＶを使って目視外飛行をする際には画像の遅延を抑えるために「５.７ＧＨz帯域幅」の電波を利用して画像をＦＰＶモニターに届けるため、その際に「電波法」の適用対象となります。
　具体的には以下のような資格が必要となります。ただし、仕事としてドローン使用する場合は「第４級アマチュア無線従事者免許」は利用できないので注意が必要です。

　電波法では営利目的か非営利目的か、によって区分けられているので間違えないようにしましょう。

第４級アマチュア無線従事者免許
第３級陸上特殊無線技士免許

測量士の資格

　ドローンを用いた測量は、従来法に比べて短時間で広範囲の測量を可能とするため、多くの分野で利用されるようになってきました。しかし、国・県・市町村などから発注される公共事業において測量を行うためには資格が必要となります。

　ドローン測量に必要な資格は、以下のようなものです。これらは国土地理院が認定する国家資格です。

測量士
測量士補

　測量士は自ら測量計画を作成して作業を進めることができます。一方で、測量士補は測量計画を作成することができないため、測量士が作成した測量計画に沿って仕事を進めることになります。

ドローンの国家資格が新設予定【操縦ライセンス制度】

　２０２１年現在、ドローン操縦に関する資格は存在しないと説明しましたが、実は２０２２年にドローンの操縦に関する国家資格「操縦ライセンス」が新設される予定です。
　この章では、「操縦ライセンス」制度が導入されることで、ドローンの利用規制はどのように変わるのか、導入背景と制度の内容について解説していきます。

ライセンス制度導入の背景

　ドローン操縦ライセンス制度の導入の背景にはドローン関連の事故増加が関係しています。２０１５年からドローンの墜落や操作ミスによる事故が多く発生しているのです。
　また、２０１５年に「ドローンを使った荷物配送を可能にする」ことを国が目標として掲げたことも影響しています。目標達成に向けて「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」が作成されており、２０２２年度を目安に「都市部での補助者なし目視外飛行」を実現することが計画に組まれているのです。

　そのため、ドローン操縦のライセンス制度を導入することで、ドローン飛行の安全性を厳格に確保する仕組みづくりを進めているわけです。

ライセンス制度の内容

　ドローンの操縦ライセンス制度は、学科および実技を元に国がパイロットの技能証明を行う制度です。ドローンの知識や操縦に関する資格は、今まで民間資格のみだったのですが、２０２２年から国家資格が新設されることになります。
　操縦ライセンスは以下２つの区分に分け、機体の種類や飛行方法に応じてドローンの利用を限定することが検討されています。

一等資格
二等資格

ドローン業務に合わせて資格を取ろう

　この記事では、ドローンに関する資格について「ドローン利用に関係する法律」や「具体的な資格」について解説してきました。２０２１年時点ではドローンの操縦に関する必須資格は存在せず、使用するドローンの機種や使用目的に応じて一部資格が必要です。

　ただし、２０２２年にドローン操縦に関する国家資格「操縦ライセンス」が新設される予定であり、今後は資格の取得が重要となる可能性があります。今後は、あなたの業務に適した資格を見極めて、取得していき必要があるでしょう。

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