ドローンの太陽光パネル点検|費用や赤外線による点検方法を解説

 ドローンは太陽光パネルの点検にも利用されているとご存知でしたか?


 近年、テレビの撮影などでドローンが使われている場面をよく目にしますが、ドローンは点検作業でもよく利用されています。屋内、屋外を問わず点検できることや、高所であっても足場や作業車を必要としないことから、点検の時間短縮やコストダウンに貢献しているのです。
 この記事では、そんなドローンによる太陽光パネルの点検について、メリットや点検方法を紹介していきます。


ドローンによる太陽光パネル点検とは?

 

 ドローンによる太陽光パネル点検とは、ドローンからの空撮(熱検知カメラと普通のカメラ)を使った点検です。上空からの映像は広範囲で見晴らしが良いため、短時間で見落としなく点検を行うことができます。
 太陽光パネルは長期に渡って使い続けるものなので、故障の早期発見や定期的なメンテナンスのために点検は不可欠です。しかし、従来は地上から人の手で点検を行わっていたため、特に大型の発電所などでは多くの人員や長い点検期間、高額な費用が必要でした。
 そこで、点検に用いられるようになったのがドローンです。ドローン点検では、ドローンを使って空からの一気に広範囲の太陽光パネルを点検します。そして、異常が発生している箇所があれば、実際に人間が現場に行って点検・修理を行うのです。


ドローンで太陽光パネルを点検する5つのメリット

 

 ドローンを用いた太陽光パネル点検には、期間やコスト、精度面で多くのメリットがあります。この章では、ドローン点検を導入した際の主な5つのメリットに関して解説してきます。


多くの人員を必要としない

 ドローン点検では、人間は異常が発生している箇所だけを点検するため、少人数でも太陽光パネルの点検を行うことができます。従来は全ての太陽光パネルを人間が点検していたため、多くの人員を要する作業でした。


 また、太陽光パネルの点検では主に熱検知カメラを用いて点検を行うため、異常が発生している箇所は温度が高くなって異なる色で表されます。そのため、専門知識が乏しい方でも簡単に異常の有無を確認できるのです。

効率的な点検で作業期間が短い

 ドローン点検では、上空からの映像を用いて一度に広範囲の太陽光パネルを点検できるため、従来よりも作業時間を短縮することができます。従来は一つ一つの太陽光パネルを見て回っていたため、点検には長い期間を要しました。


 また、ドローンはGPSを基に自動航行を行うため、大規模施設でも地上と違い障害物がないので最短ルートで効率的に空撮を行うことができます。そのため、ドローンの操縦テクニックに左右されず、常に最適なルートで航行できるのです。

点検費用が安い

 ドローン点検では、上述のように多くの人員が不要で点検期間も短いため、点検にかかる費用を抑えることができます。点検費用は施設の規模によっても異なりますが、ドローン点検を導入することで点検費用が大幅に安くなった事例が多く存在します。


 定期的な点検によって異常を早期に発見することができれば、修理費用を安く抑えられます。また、異常の早期発見によって発電効率を高い水準で維持できるため、点検頻度を増やしたとしても長期的に見るとお得になるでしょう。

上空からの点検で精度が高い

 ドローン点検では、見晴らしの良い上空からの映像を用いて太陽光パネルの点検を行うため、従来よりも精度良く点検を行うことができます。従来は地上から人の目で点検を行っていたため、どうしても見えづらい箇所があったのです。


 また、ドローンは俯瞰した広範囲の撮影だけでなく、太陽光パネルに接近して撮影することもできるため、より詳細に現場の状態を確認することもできます。

点検履歴を確認しやすい

 ドローン点検では、空撮映像を用いて太陽光パネルの点検を行うため、空撮映像を点検履歴として保存しておくことができます。異常が発生した際に、過去の点検履歴を遡って時間経過を確認することができるのです。


 近年では、ドローンに搭載できるカメラが多様化していることもあり、空撮や俯瞰画像、赤外線画像など必要に応じたデータを取得することができます。


太陽光パネルの点検と異常

 


 太陽光パネルを長期的に発電量を維持して運営していくためには定期的な点検が不可欠です。この章では、太陽光パネルの点検が必要な理由から実際の異常例について詳しく解説していきます。

太陽光パネルの点検が必要な理由

 太陽光パネルを長期的に運用すると、様々な要因から少なからず性能劣化や異常が発生します。そのため、定期的な太陽光パネルの点検によって発電効率の低下を早期に発見し、発電量を高い水準で維持することが大切なのです。


 日本最大級の公的研究機関である産総研は、太陽光パネルの性能は経年劣化によって1年で0.47~0.87%程度(太陽光パネルの種類によって変動)低下する研究を発表しています。その他、突発的な故障や異常が発生すると、太陽光パネルの発電効率はさらに低下してしまうのです。

太陽光パネルの発電量が落ちる事例

 太陽光パネルの発電量は様々な要因で性能が劣化し、その性能劣化の要因は大きく「人的要因」「経過要因」「環境要因」の3つに分けられます。

人的要因

 人的要因とは、太陽光パネルの設置時・交換時のミスによる性能の低下です。具体的な事例としては以下のものが挙げられます。

事例 内容
  
ボルトの締結ミス 架台や太陽光パネルを固定するボルトの締め忘れ・締め不足
端子台の破損 太陽光パネル設置時の端子台破損
架台金具の取付ミス 架台組み立て時の金具取付ミス

経過要因

 経過要因とは、太陽光パネルを長期的に運営することによる性能の低下です。具体的な事例としては以下のものが挙げられます。

事例 内容


ホットスポット 太陽光パネルの発電していない箇所が抵抗となって発熱
太陽光パネルの汚れ 太陽光パネルの汚れによる発電量の低下
太陽光パネルの割れ 飛来物による太陽光パネルの破損
フィルタの目詰まり フィルタ詰まりによる内部温度の上昇
架台の錆 錆による架台の強度低下

環境要因

 環境要因とは、太陽光パネル周辺の環境変化による性能の低下です。具体的な事例としては以下のものが挙げられます。

事例 内容


倒木 倒木との接触による故障および日照時間・面積の低下
積雪 積雪の重さによる故障および日照時間・面積の低下
雑草 雑草の成長による日照時間・面積の低下
ハチの巣 ハチの営巣による日照時間・面積の低下
鳥の糞 鳥の糞による日照時間・面積の低下


ドローンで太陽光パネルを点検する方法

 

 ドローンによる太陽光パネルの点検は、主に「自動航行」「空撮映像」「赤外線カメラ」によって効率的に行われます。この章では、点検用ドローンに搭載された機能について解説してきます。

位置情報とアプリによる自動航行

 太陽光パネルを点検するドローンは、位置情報と専用アプリを利用した自動航行によって効率的に点検を行います。位置情報ではGPSを利用することで、最適な飛行ルートを設計することができるのです。さらに、ドローンは自動航行を行うため、操縦者のテクニックによって点検精度が変動することもありません。

 また、ドローン操縦を手動飛行に切り替えることで、特定箇所をより詳細に観察することもできます。異常が発生している太陽光パネルを観察することで、異常原因を調べることができるのです。

赤外線カメラによる異常検知

 太陽光パネルを点検するドローンは、赤外線カメラの温度検知によって経年劣化による異常を発見することができます。太陽光パネルの発電量が低下する「経過要因」で紹介しましたが、「ホットスポット」や「フィルタの目詰まり」などが発生すると、太陽光パネルに温度異常が発生します。

 そのため、上空からの赤外線カメラ映像を用いて広範囲の温度測定を行うことで、効率的に異常を発見することができるのです。

空撮映像による現状確認

 太陽光パネルを点検するドローンは、光学カメラによる空撮映像によって周囲環境による異常を発見することができます。太陽光パネルの発電量が低下する「環境要因」で紹介しましたが、「雑草」や「鳥の糞」による被害も見過ごせません。

 そのため、上空からの光学カメラ映像を用いて周辺環境も含めて観察することで、効率的に異常を発見します。


ドローンによる太陽光パネル点検のまとめ!

 この記事では、ドローンを用いた太陽光パネル点検について、メリットや必要性、点検方法について解説しました。屋外に設置している太陽光パネルは不具合が発生することも多いため、定期的な点検が重要となります。点検期間・コスト・精度で多くのメリットがあるドローン点検は、今後拡大していくことでしょう。

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