「ドローンってここで飛ばせるの?」
一番よく聞かれる言葉です。
ドローンの飛行には制限があり、どこでも無許可で飛ばせるわけではないことが広く世間に浸透してきているのが分かります。
ドローンの飛行は「航空法」によって定められていますが、昨年から今年にかけてドローンに関する法律が施行されているのはご存知でしょうか?
最近施行された新しい法律をまとめてみましたので、参考までにご覧ください。
改正航空法の内容は?
2019年、ドローンの無許可飛行などで書類送検された国内の件数は、111件にも上りました。もちろん、過去最高の送検件数であり、年々増加傾向にあります。
昨年末にも、山梨県で禁止区域でドローンを飛行した会社と従業員の両方が書類送検されています。
住宅地の近くであったため、人口集中地区(DID地区)での許可を得ていなかった飛行だと推測できます。
こういった従来の航空法違反に加え、2020年1月招集の国会で改正航空法が成立しました。
簡単にいうと、ドローン本体に識別番号(ID)を表示させる義務が発生する内容であり、将来的には識別番号を機体から無線で発信させることが義務付けられる可能性もあるのです。
小型無人機等飛行禁止法の施行
20年7月には「小型無人機等飛行禁止法」が施行されています。
これは、国会議事堂や官邸、皇居といった国の重要施設への飛行禁止。
大使館など外務大臣が指定した外国公館等の施設、防衛関係施設、空港、原子力発電所といった施設の上空や、周囲おおむね300mの範囲での飛行を禁止したものです。
意識しなければ飛行させる空域ではありませんが、事前に周辺に該当施設がないかの確認はしておいた方がいいでしょう。
なお、今まで飛行禁止空域での許可申請の際にセットとなっていた、飛行実績報告についても21年4月1日から原則、不要となりました。(国交省の告知)
今までは許可を取った場合に、3ヶ月毎や許可期間が終了した後に速やかに飛行実績について報告を行っていたんですが、原則報告はしなくても大丈夫です。
しかし、飛行マニュアルでは飛行実績の作成や管理は必要、とされており航空局から求められた場合には速やかに提出する必要があるため、報告の必要がなくてもきちんと作成し管理しておくべきでしょう。
飛行禁止空域の追加
今年(21年)6月には人口集中地区、空港周辺、高度150m以上の飛行に加えて、緊急用務空域も飛行禁止空域として航空法で加わりました。
これは警察、消防活動などで緊急用務を行うために専用ヘリや航空機が飛ぶであろうとされる空域での飛行を禁止したものです。
山火事での災害救助や消火などで、消防署や警察署のヘリや飛行機等の運行をドローンが邪魔をしないように新たな禁止空域として加わっています。
そのため、緊急用務空域は常に存在はせず、該当する緊急用務が発生した際に国交省のウェブ上などで公開され、知ることができます。
国交省web https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
ツイッター https://twitter.com/mlit_mujinki
ですので、ドローンを飛ばす前には必ず、緊急用務空域の設定がないか事前にチェックしましょう。
この先の法改正
この先も通常国会で航空法の改正案が提出される予定だと、報じられていました。目視外飛行などの規制緩和が進む一方で、違法な飛行や安全を脅かす飛行は取り締まっていかなければいけません。
事故を起こしたり、被害を発生させるような飛行を取り締まる意味でも、強化される規制も増えていくはずです。
現時点で審議される予定の改正案は以下の内容が出ています。
・航空法対象の拡大
現在は200g未満のドローンは航空法の対象外ですが、小型化が進んでいる現在、この基準を引き上げるように検討されています。
・免許制度の創設
民間資格ではなく国が試験を実施し、操縦者の技能を証明する免許制度が検討されています。運転免許と同じように、使用者による機体の整備なども義務付けられる予定です。
新しい技術だからこそ、一方的に規制せずに運用を前提として活用できる範囲内でのルール設定が進んでいくことを期待しています。
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