ドローンパイロットの活躍｜仕事の内容や必要な能力・資格とは？

　ドローンパイロットは様々な分野で活躍していることをご存知ですか？

　近年、テレビ業界でドローンが使われている場面をよく目にしますが、実は様々な分野でドローンは実用化されています。高所の作業でも足場や安全対策等が必要なく、上空から広範囲の作業を短時間で終わらせる点が優れているのです。
　この記事では、そんなドローンを操縦するパイロットについて、仕事内容や必要な能力等を紹介していきます。

ドローンパイロットの仕事

　ドローンパイロットとは、ドローンの知識や操縦技術などを利用して仕事をする方々です。近年、技術の発展によりドローンが活躍する分野は拡大しており、それに伴ってドローンパイロットの需要も増大しています。
　また、ドローン市場が急拡大していることから、将来的にドローンパイロットの需要はより大きくなっていくと考えられます。ドローンの世界市場は年平均で約8％成長し、2025年には約3兆円規模になると予想されているのです。

ドローンパイロットが活躍する仕事分野

　ドローン技術の発展により、近年では様々な分野でドローンが活用されるようになりました。ドローンの活用方法には幅があるため、ドローンに関する知識や技術に加えて、各仕事分野ごとに身に着けるべき能力が異なります。この章ではドローンの活用事例の一例をご紹介していきます。

点検

　ドローンは公共インフラの壁やコンクリートなどを点検するために利用されています。コンクリート等の劣化診断を行う方法は、目視と打音調査が基本となります。従来は人間がハンマー等を使って点検を行っていたため、高所での作業は危険が伴うだけでなく、作業を行う前に足場を組む必要がありました。
　しかし、劣化診断にドローンを利用すると、作業者が危険に晒されることはなく、足場も不要なので短時間で作業を終わらせることができるのです。ドローンは赤外線カメラを利用してコンクリート面の浮きを検出したり、空撮写真・映像の解析によって損傷部分を可視化して点検を行います。

農薬・肥料散布

　ドローンは農地に農薬・肥料を撒くことために利用されています。農薬や肥料を搭載したドローンを飛行させ、上空から散布作業を行うのです。従来、人間の手によって農地の散布作業を行っていましたが、広大な農地の場合は多くの時間・人員が必要となって費用が高くなる問題がありました。
　農薬・肥料散布にドローンを利用すると、上空からの散布によって広大な農地でも短時間で作業を終わらせることができます。また、ドローンパイロットを含めた必要最低限の人員で作業を行えるため、コストの低減にも繋がるのです。

三次元測量

　ドローンは地形の3次元測量を行うために利用されています。光学カメラやセンサを搭載したドローンを飛行させることで地表データや写真を取得し、専用ソフトで解析を行うことで3Dモデル等を容易に作成することができるのです。従来は地上で人間が測量を行っていたため、広大な測量範囲の場合は多くの時間・人員が必要でした。また、セスナを用いた測量方法も存在しますが、高額な費用がかかることがネックでした。
　ドローンによる三次元測量の場合、上空から広範囲の測量を行えるため、広大な測量範囲でも短時間で作業を終わらせることができます。必要な人員はドローンパイロットを含めた最低限の人数でよいため、コストも抑えられます。また、ドローンは上空から測量を行うため、人が立ち入れない場所や危険な場所でも測量を行うことができるのです。

空撮カメラマン

　ドローンは上空から画像や映像を撮影するために利用されています。光学カメラを搭載したドローンを操縦することで、様々な角度から撮影を行うことができるのです。従来は有人航空機を用いて空撮を行っていたため、飛行可能な場所に制限があったり、撮影に高いコストが必要でした。
　しかし、ドローンによる空撮の場合は飛行可能な場所が広く（航空法等で制限はある）、ドローンパイロットを含めた最低限の人数で撮影できるため費用も抑えられます。また、ドローンは他の航空機に比べて低空を飛行することが可能なため、撮影アングルの自由度が非常に高いのも特徴です。

ドローンパイロットに必要な能力

　ドローンパイロットとして操縦テクニックを熟練させるためには、様々な能力が必要となります。この章では代表的な3つの能力をご紹介するため、ドローン操作の練習時に意識したり、的確な能力が備わっているかを判断するために活用しましょう。

視力

　ドローンを操縦するために、パイロットには視力が必要となります。ドローンは基本的に目視で操縦を行うため、安全に飛行させる場合は一定以上の視力が必要となるのです。屋外でドローンを航行させる場合は、風で煽られて期待が不安定になることもあります。そんな時でも、ドローンの位置と姿勢を常に把握しなければならないのです。
　また、ドローンの状態と合わせてバッテリーの残量や周囲の状況も把握しなければならないため、近距離や遠距離に素早く焦点を合わせなければなりません。視力が落ちている方は、矯正する必要があるでしょう。

想像力

　ドローンによって空撮などを行うために、ドローンパイロットには想像力が必要となります。理想の映像を撮影するためには、どのように撮影すれば良いのかを理解しておかなければならないのです。
　ドローンからの目線を事前に想像することで、ドローンの飛行ルート、撮影アングルを決定したり、リスク管理などをスムーズに対応することができます。

空間認識能力

　ドローンの位置や姿勢を理解するために、ドローンパイロットには空間認識能力が必要となります。ドローンを安全に飛行させるためには、ドローン本体と周辺の障害物との距離を正確に把握する必要があるのです。空間認識能力が乏しい場合は、高確率で事故の発生やドローンの紛失に繋がってしまいます。
　特にパイロットとドローンの距離が離れると、ドローンの位置を把握しづらくなってしまうため注意が必要です。屋外の場合は、風などの外部環境によってドローンが不安定になることもあり、より空間認識能力が求められます。

ドローンパイロットに関する資格

　ドローンパイロットになるために必要不可欠な資格はありません。（2021年2月時点)しかし、ドローンの操縦技術や知識などを客観的に証明できる民間の資格は多くあります。資格を持つことで、ドローンパイロットとしての強みになるのです。
　なお、後述しますが一部仕事で特別な飛行を行う場合に必要な国家資格もあります。

ドローンの操縦技術に関する資格

　ドローンの操作技術を客観的に証明する資格として、スクールや団体が設ける民間資格があります。国家資格がないドローンパイロットが仕事を獲得するには、技術の高さを証明することが大切なのです。
　また、ドローンを安全に操縦するためには一定の技術と知識が必要であり、民間資格の受験を通してそれらを身につけることができます。

ドローンの知識に関する資格

　ドローンの豊富な知識を客観的に証明する資格として、座学のみで取得できる認定資格があります。近年、様々な分野でドローンが活用されているため、幅広い知識が求められるのです。
　また、検定の勉強を進めることで、ドローンの基礎知識に加えて、無線工学、物理学、気象学、法令などの幅広い知識を身につけることができます。

ドローンが活躍する分野の資格

　ドローンが活躍する分野において、ドローンパイロットの役に立つ資格があります。ドローンが活躍する分野では、特定の資格がなければ働けない場合もあるのです。
　例えば、ドローンを使って測量を行う場合には、「測量士」「測量士補」が必要となります。

ドローンパイロットに関係する法律

　ドローンパイロットとして働くためには、ドローンに関する法律を知っておく必要があります。ドローン産業はまだまだ発展途中のため、今後整備されていく法律も学んでいく必要があるでしょう。

航空法

　航空法では、ドローンの飛行禁止空域や飛行の方法について定められています。定められた場所、方法以外で利用する場合には、国土交通大臣による手続きが必要となります。

飛行禁止空域に関する取り決め

空港周辺で飛行禁止
150m以上の高度で飛行禁止
人家の密集地域で飛行禁止

飛行の方法に関する取り決め

アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
飛行前確認を行うこと
航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること

他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
夜間は飛行禁止
目視の範囲内で飛行を行う

周囲の人・物と30m以上間隔を空ける
催し場所(イベント会場)での飛行禁止
ドローンによる危険物輸送の禁止

ドローンからの物質投下の禁止

電波法

　ドローンは電波を使って操縦するため、他の装置と混線しないように利用できる電波について定められています。具体的には、「特定無線設備の技術基準適合証明(通称:技適)」を取得しなければならないのです。大手メーカーの販売代理店などで購入した場合は、基本的に技適通過済みなので問題ない場合が多いです。
　ですが、近年よく使われているマイクロドローンなどをFPVと言われるゴーグルで飛行をする場合には、電波の特性上映像を届ける速度を早くするために通常は使わない電波を使います（電波帯域と言います）
　趣味で活用する場合にはアマチュア無線４級が必要となりますが、営利目的の業務となるとアマチュアではなくなるために、別の電波に関する資格が必要となります。　仕事で使う場合には、無線局として開設を行う必要があり、そのためには陸上特殊無線技士三級以上の資格を有している必要があるので注意が必要です。
　もし資格を有せずに、本来は制限されている電波帯域を活用した場合には電波法違反となり、100万円以下の罰金が課せられます。

道路交通法

　道路上や路肩でドローンを利用する場合には、道路交通法が適応対象となります。事前に「道路使用許可証」を管轄の警察署に提出する必要があるので注意しましょう。
　また、ドローン低空飛行させるなど、車両の運転に支障が生じる場合にも申請が必要です。

個人情報保護法

　状況によっては、ドローンによる空撮等が個人情報保護法に抵触する可能性があります。ドローン撮影によって誰かの顔や住居が映り込んだ場合は、取り扱いに注意しましょう。

小型無人機等飛行禁止法

　小型無人機飛行禁止法では、特定の施設およびその周辺地域における小型無人機等の飛行を禁止しています。特定の施設としては、国会議事堂や内閣総理大臣邸、原子力事業所などが挙げられます。

スクールでドローン技術を磨く

　ドローンパイロットは、スクールに通って技術を磨くことも有効です。信頼性が高い機関、団体が運営しているスクールを卒業することが、パイロットとしての強みになります。
　今後、ドローン市場が拡大し、ドローンパイロットの免許が一般的になれば尚更重要となるでしょう。

ドローンパイロットとして働こう！

　この記事では、ドローンパイロットについて、仕事内容や必要な能力について解説しました。ドローンが活躍する分野は拡大しており、パイロットの需要は増大することが予想されます。必要な能力や資格を獲得し、自らの信頼性を高めましょう。

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