ドローン機体の有効期間更新とは?リモートID免除はどうなる?

2020年に航空法が改正され、2022年よりドローン機体の登録が義務化されました。
この制度では3年ごとに更新が必要となるため、来年2025年が3年目となり初年度に登録したドローンの最初の更新年となります。
改めて、発生する費用や登録制度の概要、リモートIDの行方など気になる点をおさらいしてみました。

国土交通省資料「無人航空機の登録制度の概要」より

そもそもドローンの登録制度とは?

2020年の改正航空法によって生まれたドローンの登録義務化ですが、今後のドローンの活用が見込まれるというポジティブな理由と、不適切な飛行をしたドローンの所有者を特定するためというネガティブな理由の2つが主な理由でした。
我々、ドローンを生業としている事業者にとっては法律に則り、適切な飛行を常に心掛けているのですが、中には現地で別の方が不適切な飛行を平気で行なっている場面に遭遇することも少なくありません。
こうなると、有効活用できるはずのドローンの印象も悪くなりますし、何らかの事故が発生した際にこちらまで疑われてしまいます。

実例をあげます。
とあるお祭りを撮影して欲しいと依頼を受け、現地に赴いた時でした。お祭りですから夜間撮影になってしまうため、当然ですがDIPSにて夜間申請を行い許可証が発行された上で、当日は飛行を行いました。

画像はイメージです。実際には猪対策のための夜間飛行です。

夜間飛行自体は、包括申請でもないためにそれほどハードルは高くないんですが、前述したようにお祭りでの飛行のため「イベント上空」での飛行となります。
これも国交省の承認が必要な「催し場所上空での飛行」にあたるため、夜間での飛行と共に承認の申請を出すのですが、ドローンによる人身事故として2017年にイベントでのお菓子まきドローンが落下して怪我人を出したことから、イベントでの飛行承認はハードルが高くなっています。
実際に、当社も申請の中で記載すべき項目が増えたり、飛行する場所の規制を受けたり、当然ですが安全監視員の配置を行い、イベント見取り図を作成したりと、申請への書類が多かった上に指摘事項も通常よりも多くありました。

しかし、そんな万全の準備をした我々を嘲笑うかのように、お祭り中に人混みの上を自在に飛ぶドローンが一台。
一瞬、目を疑いました。我々はお祭りで人の上を飛ばすな、という指摘を受けたので林の上から遠巻きにドローンを飛ばしていたのに、どのようにして承認を得たのだろう、と。
申請書類の書き方など、経緯を聞こうとプロポを持っている人に尋ねてみると…

「え?承認って何ですか?何か手続きがいるんですか?」

驚きの回答でした。
この人は民間資格も持っていないのか?など色々な疑問が湧きましたが(なんと持っていました、オンラインで受けるスクールでしたのでスクールの良し悪しが出ますね…)、そそくさと退散をしていくパイロットを目で追いながら、もし彼が事故を起こしたら我々にも疑いの目がかかるのだろうか?と少し悲しくなったことを覚えています。

そんな経験も複数あり、登録義務化は必要だと考えるに至りました。

登録制度の概要

改めて、ドローンの登録制度はどんなものだったのか?要点を書き出してみました。

⚫︎ 2022年6月20日から機体の登録が義務化される。違反すると1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
⚫︎ 登録番号は機体に貼り、尚且つ電波で機体から遠隔発信させないとダメ。但し遠隔発信が免除される場合もある
⚫︎ 登録料は最安で900円、3年ごとの更新で法人も個人も同様

お金を払って機体を登録するので、自動車のナンバープレートのような制度だと思えば分かりやすいでしょう。
ここで悩ましかったのが、基本的に機体から登録番号を電波で発信させることも義務化されていたことです。制度の創設背景から考えると、当たり前と言えば当たり前とも言えます。
2024年10月16日現在で、機体内蔵型、外付け型も含めて本制度の適合していると届出がされているリモートID機器は、国土交通省のサイトに掲載されています。(以下はその一枚目のみ掲載)

国土交通省サイトより( https://www.mlit.go.jp/koku/content/001484158.pdf

リモートID機器の搭載がない機体の更新はどうなる?

このリモートID機器ですが、2022年の登録義務化の時点で対応をしていない機体(Phantom4など)が多数ありました。
しかし、一斉にNGになるとドローンを有効活用していこうという主旨と相反してしまいます。
そこで、国土交通省からの登録において、以下の免除条件が設けられました。

 ⒈2022年6月20日までの事前申請期間に登録手続きをしたドローン
 ⒉紐などで係留して行う飛行
 ⒊警察などが警備に使う飛行
 ⒋事前に国に届出を出している特定地域で、補助者、範囲の指定をした飛行

2〜4については事例としては特殊なので割愛しますが、1に記載されている事前申請期間に登録手続きをしたドローンについてはリモートID機器による識別情報の発信については免除する、ということだったのです。
もちろん、現在(2024年10月)は事前申請期間はとっくに過ぎていますので、1の条件で免除に当たることはありません。ですので、内臓IDまたは外付けIDで識別情報を発信しなければなりません。

この前提を踏まえて、2025年に迎える1回目の機体登録更新について考えるとリモートID機器がついてない機体は、外付けで機器を改めて付ける必要があるのでしょうか?
事前申請期間は当然終わっていますので、そのまま更新できるのか、それとも改めてリモートID機器が必要なのかが気になるところです。

これについて、現時点(2024年10月16日現在)では国土交通省のサイトで記載を見つけることが出来ませんでした。
しかし、ドローンの事前申請期間であった2022年6月にリモートID機器に関する記載がお知らせとして掲載されていました。

事前登録によるリモートIDの搭載の免除は、3年後も機体登録更新の手続きにより継続されます。

つまり事前申請期間に登録し、ドローンのリモートID機器の搭載が免除されている場合には、登録更新になろうとも変わらず免除になり、ドローンもそのまま使える、ということです。
大切なのは、登録更新を忘れないこと、でしょうか。おそらく忘れてしまうと、当然ですが登録が切れるので、再度登録をしようとすると免除は対象外となっているでしょうから。

まだ先ですが、忘れずに備えておくことは大切ですね。