ドローンを利用して風力発電機・太陽光パネル・石油タンクを点検できることをご存じですか？
近年、テレビ番組などでドローンによる空撮映像を目にする機会が増えましたが、ドローンの空撮技術はテレビ業界のみならず、多くの事業分野で実用化されています。その数ある中でも今回は「点検分野」についてご紹介していきます。
以前まではヘリコプターなどを利用して空撮を行っていたため非常に高価でしたが、ドローンの登場によって空撮を手軽に行えるようになりました。ドローンは安定した飛行により高品質な空撮を行うことができるため、空撮映像を元に点検が行われるようになってきたのです。
この記事では、そんなドローンによる風力発電機・太陽光パネル・石油タンクの点検について、具体的な事例について解説していきます。
ドローンによる点検作業とは
ドローンによる手軽な空撮技術を活用して、様々な点検作業に活用するケースが増えてきました。なぜドローン点検が広まっているのか、「ドローン点検のメリット」「ドローン点検が広まった背景」に関して解説していきます。
ドローン点検のメリット
ドローンによる点検は、従来の作業員による点検に比べて、大きく以下4つのメリットがあります。
・点検場所の制限が少ない
・少人数で点検できる
・点検のコストが安い
・様々な点検ができる
まず、ドローンの空撮技術を利用するため、高所や人が立ち入れない危険な場所でも容易に点検が可能です。点検作業もドローン操縦者だけで行えるので、少人数で広範囲の点検を行えます。そのため、作業員による点検に比べて費用も抑えられます。
また、ドローンに設置したカメラやサーモグラフィーを利用して、人の目では判断できない異常も検知可能です。
ドローン点検が広まった背景
ドローン点検が増加してきた背景としては、以下3つが挙げられます。
・ドローンおよび周辺機器の性能向上
・ドローン操縦者の増加
・ドローン関連の法改正
まず、ドローン自体の飛行性能の向上により、精密な飛行が可能となりました。そして、ドローンに搭載可能なカメラやサーモグラフィーといった周辺機器の性能も向上し、点検に利用できる空撮が可能となりました。
次に、ドローンの性能向上により、様々な場面でドローンが活用されるようになって、ドローン操縦者を育成するスクールが増加しました。それに伴い、熟練した操縦者が増加しています。
最後に、ドローンの台頭によって、ドローンの飛行方法やドローンによる点検に関して、法律が続々と改正されました。このような流れで、ドローンの使用率が高まってきています。
ドローンの点検事例：風力発電機
ドローンによる点検作業の例として、風力発電機の点検についてご紹介します。ドローンの空撮技術による点検は、風のエネルギーから電力を発電する風力発電機の点検にも利用されています。
従来の風力発電機の点検
風のエネルギーを電力に変換する風力発電機は、従来は作業員によって点検が行われていましたが、非常に大型の設備のために多くのコストと人員が必要であるという問題がありました。
従来の点検では、地上から望遠カメラで撮影を行い、風力発電機の各部を様々な角度から網羅的に撮影する必要がありました。その結果、1基あたりに数百枚の画像を撮ることになるため、後から画像データを確認して点検を行うのも大変です。
また、風力発電機は大型であるため、高所で作業する場合は昇降車が必須となりますし、何か部品の交換などを行う場合には大型のクレーンも必要となる可能性があります。そのため、点検には多くの機材および人員が必要となるのです。高所での作業が発生する場合、作業員の安全面でもリスクが高いと言えます。
風力発電機は国の決まりによって、毎月1回以上のメンテナンス、毎年1回は外回りのメンテナンス＋ソフトウェア点検を実施しなければなりません。また、メーカーによって異なるものの風力発電機を正常に稼働し続けるために、毎年4回の点検実施が推奨されています。そのため、1年間で風力発電機の点検にかかるコストは膨大です。
ドローンによる風力発電機の点検
ドローンを用いて風力発電機の点検を行う場合、手軽な空撮によって風力発電機の各部を詳細に撮影し、効率的に広範囲の点検を行うことができます。従来の地上から望遠カメラで撮影する手法に比べて、手軽に所望のアングルから撮影を行えるため、撮影にかかる時間は非常に短縮されます。
また、近年ではドローンの自動操縦による画像撮影も可能になってきており、点検にかかる時間は更に短縮されつつあります。自動飛行ソフトを搭載したドローンを利用すると、自動で風力発電機のブレード3枚をそれぞれ決められた方向から撮影を行えるのです。そのため、ドローンパイロットのスキルが未熟で、所望の画像を撮影できないといった問題も発生しません。
さらに、撮影した画像の確認も画像解析ソフトによって自動で行えるようになってきています。撮影した数百枚の写真を人が1枚1枚確認していた従来点検に比べて、解析ソフトを利用すれば大幅な効率アップに繋がります。
ドローンの点検事例：太陽光パネル
ドローンによる点検作業の例として、太陽光パネルの点検についてご紹介します。ドローンの空撮技術による点検は、太陽のエネルギーから電力を発電する太陽光パネルの点検にも利用されています。
従来の太陽光パネルの点検
太陽のエネルギーを電力に変換する太陽光パネルは、従来は作業員によって点検が行われていましたが、非常に大型の設備のために多くのコストと人員が必要であるという問題がありました。
従来の点検は、地上から人の手で点検を行っていたため、特に大型の発電所などでは多くの人員や長い点検期間、さらには高額な点検費用が必要でした。
しかし、太陽光パネルの発電量を維持しながら長期的に運営していくためには、定期的な点検が不可欠です。そもそも太陽光パネルは長期的に運用すると、様々な要因から少なからず性能劣化や異常が発生します。そのため、定期的な点検によって発電効率の低下を早期に発見し、できる限り発電高率を高い水準で維持することが重要なのです。
ドローンによる太陽光パネルの点検
ドローンを用いて太陽光パネルの点検を行う場合、手軽な空撮によって広範囲の太陽光パネルを効率的に点検することができます。ドローン点検では、上空からの映像を用いて一度に広範囲の太陽光パネルを点検できるため作業時間が短くなります。
また、太陽光パネルの点検用ドローンには外的損害を確認する通常のカメラに加えて、電気的異常を確認する熱検知カメラが搭載されており、太陽光パネルの異常な発熱を検知することができるのです。そのため、作業員は異常個所だけを直接点検すればよいことになり、少人数でも非常に効率的な点検を行えるのです。
さらに、ドローン点検では、空撮映像を用いて太陽光パネルの点検を行うため、空撮映像を点検履歴として保存しておくことができます。異常が発生した際に、過去の点検履歴を遡って時間経過を確認することができるのです。
ドローンの点検事例：石油タンク
ドローンによる点検作業の例として、石油タンクの点検についてご紹介します。ドローンの空撮技術による点検は、石油を貯蔵するタンクの点検にも利用されています。
従来の石油タンクの点検
石油を貯蔵するタンクは、従来は作業員がタンクに上って目視による点検が行われていましたが、非常に大型の設備のために多くのコストと人員が必要であるという問題がありました。
石油タンクは危険物である石油を貯蔵するタンクであるため、危険物が漏れ出さないように点検は欠かせません。従来の点検では、作業員が該当の石油タンクに一基ずつ上り、そのときの状況に合わせて目視で異常がないかを点検していました。
そのため、点検作業には多くの時間と人員が必要であり、また目視で見える範囲しか点検できないという問題点もありました。
ドローンによる設備点検
ドローンを用いて石油タンクの点検を行う場合、手軽な空撮によって広範囲の石油タンクおよび関連する配管を効率的に点検することができます。ドローン点検では、上空からの映像を用いて一度に広範囲を点検できるため作業時間が短くなります。
また、ドローンによる点検の場合、必要に応じて対象物に近づいたり、様々な角度から対象物を撮影することができます。そのため、従来の点検のようにタンクの上からでは見えにくい箇所も詳細に点検することができるのです。
さらに、点検ドローンに熱感知カメラを搭載することで各部の温度を効率的に測定することが可能であり、配管などの劣化している部分を検知することもできます。作業員の目視による点検では不可能なことです。
まとめ
この記事では、ドローンを用いた風力発電機・太陽光パネル・石油タンクの点検について、従来の点検方法と比較して解説しました。今まで作業員によって行われていた点検作業ですが、点検期間・コスト・精度で多くのメリットがあるドローン点検は、今後拡大していくことでしょう。
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