クマだと思ったらイノシシだった

体長1.5m以上!夜の山間に現れた”巨大な姿”!
赤外線ドローンがとらえた衝撃の姿と、息を呑む発見の瞬間!


運動公園の夜間調査

「あれ?なんだかとても大きな生き物が写ってるんですけど…」

2月の半ばを過ぎた山の中で、当時イノシシの調査をしていた私たちは寒さを肌に感じながら、真っ暗な夜の中でドローンを飛ばしていました。
イノシシは夜行性と言われており、夜に活動を開始します。そのため、夜間に活動状況や移動の経路、どのあたりが”巣”となっているをドローンを飛ばして確認をするのです。
もちろん、夜間にドローンを飛ばすことは航空法に反するため、事前に国交省へ申請をして許認可を取る必要があります。許認可を得た上で、該当地域を飛行させるのです。

関連記事:航空法によるドローン規制

ここで飛ばすのは、赤外線カメラを積んだドローンとなります。夜間ですから、例えばライトがついているドローンを飛ばしても山の中ではほぼ役に立ちませんし、そもそも広大な山の中で小さな灯りのみでイノシシを発見するのは出来ないからです。
熱に反応する赤外線カメラであれば、通常は見えないような暗闇でも浮かび上がってきますし、意外と樹木も温度差があるために、形もわかるのです。

生き物の体温は高いため赤く映る
夜間でも生き物も樹木も映る

21時過ぎの遭遇

複数のイノシシを撮影し終わり、最後に試しに砂利道の駐車場から赤外線ドローンを飛ばすことにしました。
近くの遊具や運動広場にイノシシの足跡が多く見つかっており、痕跡の残っている侵入経路から逆算してイノシシがいるであろう場所をアタリをつけていたので、調査範囲外の場所ではあったものの、念のために飛行させてみようと協力して一緒に対応をしている鳥獣対策団体の人と2人で、誰もいない駐車場からドローンを飛ばしたのです。
2月でしたので当然寒く、最強!と書かれたカイロは最弱が相応しいほど外気温には勝てず、寒さに震えながら、自分のお腹の空き具合をやっと認識したくらい、18時ごろから長時間ドローンを飛ばしていました。
もう最後、ということもあり、そしてお店がドンドン閉まっていく場所だったので、何を食べようかという話をしながら飛行させたのを覚えています。
飛行させて直ぐ、我々がいる駐車場から西側の山へ向かおうとドローンを向かわせた時、明らかに高い温度を持った生き物、が映り込みました。
距離にして70mほど、10秒に満たない時間で辿り着くような近さです。速い生き物だと5秒かもしれません。
まさか、と思いながら樹木がある谷となっている場所へドローンの高度を下ろしていくと、明らかに生物と思えるものがゆっくりと動いていました。

「大きいんですけど、こいつ…」

近くにある樹木は決して小さなものではなく、もちろん正確な大きさは分かりませんが少なくとも体長が1.5m以上はありそうな大きさで、ゆっくりと首を振っています。

  大きな生物が首を左に振り
  その次に右を向く仕草を

写真の真ん中の左下に写っている小さな赤い点は、どう見てもフンです。この生物がさきほど、排出したものだと分かります。
もう一度、iPadの画面を見ると直線距離にして70m、近い。
協力者の方と画面を何度も確認すると、ドローンが上空に留まっているにも関わらず、ゆっくり、ゆっくりと動いています。

「これ、イノシシに思えない大きさだね……クマ、かな…」

ブワッ!と全身の肌が粟立ちます。
クマ!?この距離で?!いくら谷間にいるからといって、あいつらは下り坂ならまだしも、上り坂は意に介さず凄い速度で駆け上がってくるんじゃなかったっけ?!
協力者の方が、藪の中を進むようの小さなナタを構えて谷の方を睨みますが、もし本当にクマならナタくらいで立ち向かえるのだろうか?
何度見ても、動画では判断できず、その大きさだけが際立ちます。今まで発見したイノシシよりも大きいのは明らかですし、何より一匹だけでいるところが怖さを掻き立てます。

 

いつこちらに向かってくるか分かりません、とにかく撤収しなければ!
急いでドローンを戻し、着陸も緊急着陸さながら、ものすごい速さで着地させます。その弾みでドローンがワンバウンドするくらいの勢いでした。
なんせ、ドローンで見ているうちはこちらに向かっているのか、そうじゃないのかが分かりますが、ドローンを着地させようとすると、必然的に生き物からカメラを外して移動させるため、ヤツが留まっているのか、こちらに向かっているのか、全く分からないのです!
しかも距離は70mほど、着陸させている時に、万が一音が鳴っているドローンを追いかけてきたら、そこにいるのはドローンだけではなく人間が2人…
ナタを持って協力者の方が谷を睨んでいますが、ナタの心許なさよりも上がってくるかどうか見ていてくれることで、少しだけ救われて急いで撤収準備を進めます。
丁寧に箱にしまうのは後にして、車のトランクに積み込んで駐車場を離れるのが先です!
なんとか遭遇せずに、その場を離れることが出来ました。

獣医大学による調査

移動しながら、近隣に起こったクマの目撃情報を調べると、数年前に近くでクマが目撃されていたことがわかりました。
クマの行動圏が40〜70kmと言われており1日で10km以上動く例もあるそうで、実際にそれ以上動くクマがいてもおかしくないでしょう。
そもそも、クマの目撃された現場とは10km以上は離れていそうでしたが数年前のこと。行動圏から考えて、ここにいても全くおかしくないわけです。
イノシシのようにも見えるし、クマのようにも見える…一体こいつはなんだろう?
当時、鳥獣対策を一緒にしていた獣医大学の教授と生徒たちが調査を手伝ってくれて、翌日にクマなのか何かわからない場所へ降りて行きました。
もちろん、事前にドローンで問題がないか確認をしてから、ですが。
昼に調査を行ったので、樹木の具体的な大きさもわかり、体長はやはり1.5m以上はありそうだ、ということが分かりました。
次に、写っていたフンと思われる物体が残っていました。
フンを採取して分析をかければ、クマなのかどうか分かる、とのこと。
教授は動画に興奮して、これはクマかもしれない!すごい動画だ!!と仕切りに言っていたのを覚えています。夜間に遭遇した身としては、勘弁してほしいとしか思えない遭遇でしたが…

調査の結果

獣医大学の教授が分析にかけて、フンを調べた結果…あの大きな生き物はやはり…

でした。
あれだけ大きかったのに、あのゆったりとしたフォルムも、ドローンごときに全く動じないのも、全てイノシシだったということです。
拍子抜けするとともに、改めて良かった…という安心感もやってきたのですが、よく考えると1.5m以上の体長のイノシシが大きな公園のすぐそばで、駐車場の真横で潜んでいるというのも、怖いですよね。
突っ込んできたら、怪我は間違いなく負うでしょうから。
ただ、そこに何かがいる、と分からなければ対策は練れませんし、いざという事故が起こってからでは当然遅いです。そのためには、当たり前ですが「見える化」のための調査が必要となります。


ドローンを活用した鳥獣対策


ドローン自体はあくまでも「道具」です。ドローンがあれば全てを網羅できるわけでもないですし、必ずイノシシや場合によってはクマが見つかる道具ではありません。
また、追払いもできるのでは?と期待されていますが、遭遇したイノシシのように全く動じないイノシシも間違いなくいますし、それが1匹どころではなく、何度も同じようにドローンが接近しても動かないことを確認しています。
ではドローンでは何が出来るのか?
見える化、とあるように「どこに」「どれだけの数」が、「どのルートを通って」存在しているのか?鳥獣の姿形を見える化出来ます。
これによって、例えば罠の設置場所を効果的にしたり、対策を効率的に講じることができるのです。

関連記事:ドローンによる鳥獣・害獣対策について

関連記事:ドローンでイノシシは退治できるか?

意外にも、野生のイノシシは歩く速度がどれくらいか分からなかった、と獣医大学の教授に言われたことがあります。もちろん、ドローンで撮影した動画を見てのコメントです。
空から姿を映すことにより、今まで知られていなかった姿を知ることができる、優秀な「道具」の一つなのです。


 

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